第29章 起首雷同
「蠢蟲の寿命はおよそ30日前後しかないんだ」
「…ソイツを食えば、夜叉椿とまた殺れるのか」
鬼哭羅は辛そうに笑う。
「決定だね」
偽夏油は蠢蟲を鬼哭羅に渡す。受け取った蠢蟲を鬼哭羅が飲み込んだ。体の中を蠢蟲が這いずり回る。欠損した部位がみるみる治っていく。
「おぉ!」
それを見ていた真人が声をあげる。右半分が異形な形になって、鬼哭羅の傷が完治した。鬼哭羅は高笑いする。
2日後。
「いやぁ〜、指の呪霊だけじゃなくってさ、遺体を調べてビックリ!!なんと、例のブツの受肉体だったの。特級相当を各個撃破!!今年の1年は豊作だね。僕の指導者としての腕がいいのかな」
『オフの日にアンタと長話したくないのよね。飲み会の幹事の件でしょ』
五条は歌姫と電話をする。
「どう?目星はついた?」
『全然。私含め皆忙しいの。どうする?学生にも声かけてみる?』
「僕、下戸だからノンアルでも構わないよ。引き続き声がけよろしく」
五条は電話を切り、スマホをクルクルと指で弄ぶ。歌姫の周りは何が聞いているか分からない。内通者が学生ってのは考えたくないが、一応探ってもらう。
「後は頼むよ、冥さん」
冥の口座に五条が一千万円振り込んだ。
ロロと伏黒、釘崎は虎杖がいない所で話をしていた。
「虎杖に共振の話はするな」
「…それって確定なの?」
「ほぼな。終わった案件だ。気づく可能性があるとすれば、俺達か新田さんくらいだと思う。虎杖…、宿儺の受肉はキッカケにすぎない。八十八橋の呪殺はいつ始まってもおかしくなかった。そもそも指を飲み込んだのは、俺を助けるためだ。でも、アイツはそれで納得しねぇだろ。だから、言うな」
「分かった」
「…言わねぇよ。レディの気遣いナメんな」
その頃、虎杖の左頬に宿儺が出てきていた。
「オマエのせいだ。オマエが俺を取り込んだ。目覚めたんだよ。切り分けた俺の魂達が。大勢のケヒッヒヒッ。人間を助けるか。小僧!!オマエがいるから!!人が死ぬんだよ!!」
「おい、それ伏黒に言うなよ」
そう言って、虎杖は歩き出した。