第4章 懐玉
「どこがいいんだよ、こんなガキ」
五条の術式で、2人を引き寄せてぶつけた。
「式神が消えん!!どれが本体じゃ!?」
「式神じゃねぇ、分身だ。全部本体のな」
分身の2人が五条を殴ろうとするが、とどかない。
「んだコレ!!」
「無限。アキレスと亀だよ」
「あ"ぁ!?」
「勉強は大事って話」
分身の2人を殴りつける五条。こっちに飛んできたので、ロロは避ける。
「本体含めMAX5体の分身術式。どれが本体かは常に自由に選択できるんだろう?本体が危うくなったら、安全な分身を本体にする。いい術式持ってんじゃん。なんで、そんな弱いのか意味分からん」
「何故俺の術式を知っている」
「御生憎様、目がいいもんで。俺の術式はさ、収束する無限級数みたいなもんで、俺に近づくモノはどんどん遅くなって、結局俺まで辿り着くことはなくなるの」
それを強化すると『無下限』…、『負の自然数』ができて『−1個のリンゴ』みたいな虚構が生まれるそうだ。そうすると、さっきみたいな吸い込む反応が作れるみたいだ。
「でも、意外と不便なんだよね。あまり大きな反応は自分の近くに作れないし、指向性にまで気を遣い出すと呪力操作がまー面倒で。要は超疲れんの。でも、これは全部順天の術式の話。こっちは無限の発散」
そう言うと、残り1人になった呪詛師を引き寄せる。
「術式反転『赫』!!」
呪詛師は身構えるが何も起きない。
「フッ、失敗!!」
呪詛師にアッパーをくらわせる。
「なんかできそうって思ったんだけどなぁ」
「残念だったね」
天内の携帯が鳴る。
「黒井からじゃ。どっ、どうしよう黒井が…!!黒井が!!」
写真を見ると、黒井が縛られていた。
「すまない、私のミスだ。敵側にとっての黒井さんの価値を見誤っていた」
「そうか?ミスって程のミスでもねーだろ。相手は次人質交換的な出方でくるだろ。天内と黒井さんのトレードとか、天内を殺さないと黒井さんを殺すとか。でも交渉の主導権は天内がいるコッチ。取引きの場さえ設けられれば、後は俺達でどうにでもなる。天内はこのまま高専に連れていく。硝子あたりに影武者やらせりゃいいだろ」
「ま、待て!!取り引きには妾も行くぞ!!」
同化までに黒井が帰ってくる保証はない。お別れも言ってないのにと、天内は泣き顔になる。