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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第102章 刀鍛冶の里での罠〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】


刀鍛冶の里へは、場所を秘匿するため誰もが目隠しをされ、バラバラの時間に連れられていく。

ゆきがようやく指定された宿へ到着した頃には、すでに辺りは薄暗くなっていた。

「無一郎様と美月様は、すでに奥のお部屋へご案内しております」

案内人の言葉に頷き、長旅の疲れを滲ませながら部屋の前へと歩み寄った。

お礼を告げて襖を開けようとした、その時だった。中から漏れ聞こえてきた美月の声に、ゆきの手がぴたりと止まる…。

「無一郎様…なくした母の形見の簪の件なのですが、言いにくいのですが…ゆきさんの部屋がたまたま開いていた時に、中に光るものがあって。よく見たらそれが、母の形見の簪だったんです」

「何かの間違いでしょ?」

「いえ、間違いありません。私のことが嫌いだから、意地悪で隠したんだと思います…」

すすり泣くような声。

ゆきは衝撃に目を見張り、息を呑んだ。

簪? そんなもの、私は見ていない…美月さんが嘘をついているんだ…。

胸がバクバクと嫌な音を立てる。

けれど、すぐに思い直した。昨夜、あんなにも強く自分を抱きしめ、独占欲を露わにしてくれた無一郎くん…

こんな見え透いた嘘、信じるわけがないよね…。

しかし、襖の向こうから返ってきた無一郎の声は、ゆきの淡い期待を無残に打ち砕いた…。

「ゆきが…そうか…。君のことを毛嫌いしているのは、分かっていたからね」

その声音はひどく冷たく、かつて不仲だった頃の、あの氷のような瞳を容易に想像させた…。

嘘…信じるの…?

頭を強く殴られたような衝撃に、ゆきはその場にへたり込みそうになる。

つい数時間前まで、痛いほどきつく手を握りしめ、「他の男と会話しないで」と狂おしいほどの愛を向けてきたのに…。

美月の前で見せる、あの甘く、自分を突き放すような冷たい態度…。

無一郎くん…私簪なんて知らない…私じゃないよ!心で叫んでいるのに、目の前の襖を開いて伝える気に何故かならなかった…。

私は、中には入らず宿を出た…。

夜風に当たりたかったから…




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