第101章 波乱の食事会〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】
微睡みの中で覚えた肌寒さに、ゆきは小さく身震いした。
すると、耳元で優しく、どこか切ない無一郎くんの声が鼓膜を揺らす。
「もっとこっちにおいで。僕の胸の中なら、あったかいよ…」
その甘い言葉に導かれるように、ゆきは温もりを求めて彼の身体へとすり寄った。
ぎゅっと抱きしめられると、彼の心地よい体温がじんわりと伝わってきて安心する。
もう少しだけ眠っていたい…心地よい浮遊感の中、ゆきの意識は再び遠のいていった。
…だが、ゆきはまだ気づいていない。
枕元には、いつの間にか綺麗に畳まれた不死川さんの母親の形見である浴衣が置かれていることに。
そして今、自分が一糸まとわぬ姿で、無一郎の腕の中にすっぽりと収まっていることに。
ゆきが深い眠りにある間、無一郎はそっと腕を解き、静かに縁側へと出た。
夜が明け、うっすらと明るくなる空を見上げながら、彼は口笛で合図を送る。
しばらくして、羽音を立てて現れたのは、無一郎の鎹鴉である銀子だった。
無一郎は、新しいゆきの着物をここに、隠に届けてもらうように指示をした。
銀子が朝焼けの空へと飛び立っていくのを見送りながら、無一郎は満足そうに目を細めた。
「君が目覚める頃には、僕が用意した新しい着物が届くからね…。もう二度と、他の男の用意したものを身に纏わないで」
ふと、小さな疑問が脳裏を過る。
そもそも、ゆきが最初に着てきた自分の着物はどこへ行ったのだろう。
そしてなぜ、不死川さんの母親の浴衣に着替えさせられていたのか?
考えても答えは出ない。けれど、そんな疑問すら、愛おしい婚約者を独り占めできた高揚感の中に消えていく…。
無一郎は再び部屋に戻ると、冷えた身体を滑り込ませるようにして、眠るゆきを後ろから強く抱きしめた。
目覚めたら、屋敷へ一緒に帰ろう…ゆき