第101章 波乱の食事会〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】
数時間後、浅い眠りから目覚めたゆきが目を開けると、そこにはすでに目覚めた無一郎の姿があった。
慌てて身体を起こそうとした瞬間、肌を撫でる冷気に小さく身震いをする。
その時、無一郎がどこか熱い、酷く狂おしい視線を自分に向けていることに気がついた。
「おはよう…無一郎くん」
「う、うん。おはよう…」
返ってきた声は、いつもより少し上ずっている。
彼の視線が自分の顔ではなく、その下へと注がれていることに違和感を覚え、ゆきは思わず自身の身体へと目を向けた。
「えっ!? なんで…!」
白く滑らかな肌が露わになっていることにようやく気づき、ゆきは顔を真っ赤に染めて慌てて掛け布団を胸元まで引き上げた。
パニックになる彼女を前に、無一郎はひどく冷静な、声で淡々と告げる。
「不死川さんのお母さんの浴衣を着てたから、脱がせた。…ここに、新しく届けてもらった着物があるから。これに着替えて」
差し出されたのは、仕立てられたばかりの美しい着物。
実は無一郎は、ゆきに黙って新しい着物を仕立てていた。
「あ、ありがとう…。」
「昨日どうしてあの浴衣を借りたの?無理やり着せられたの?」
「違うよ!あ…水、かぶっちゃって…」
「水?」
「手拭いを濡らして、無一郎くんの酔いを冷まそうとしたの。そうしたら、手元が狂っちゃって…」
「そっか…。僕の為にか…ごめんね」
申し訳なさそうに眉を下げる無一郎に、ゆきは慌てて首を振った。
「ううん…間違えてお酒を飲んじゃったんだから、仕方ないよ」
ふわりと微笑むゆきを、無一郎はたまらなくなって布団ごと強く抱きしめた。
…そっか。僕のために…
水濡れの理由を知り、愛おしさと切なさが胸の奥でせめぎ合う。
けれど同時に、歪んだ優越感が無一郎の心を支配していく…。
「もう、他の男の匂いがするものなんて着ないで。君を包むのは、僕のものだけでいいから…君は僕の婚約者なんだから周りに、流されないでね。」
耳元で囁かれた声に、ゆきはドクンと鼓動を跳ね上げる。
切ないほどに狂おしい無一郎の体温が…想いが…布団越しにじんわりと伝わってきた。
「帰って、刀鍛冶の里に行く準備をしよう。」
「うん…」