第102章 刀鍛冶の里での罠〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】
ゆきを押さえつける無一郎の力はなおも強まり、耳元で刻まれる吐息はいっそう荒さを増していく。
「ねぇ、君は誰を見てるの?」
打ちつける腰の動きがさらに激しさを増したその時…。
パリン…ッ!!
静まり返った屋敷に、美月の部屋から大きな物音が響き渡った。
驚きもせず、なお動きを止めようとしない無一郎に、 ゆきは必死に声を絞り出す。
「な…何か、あったのかも…、無一郎くん、お願い、やめて…!」
緊迫した ゆきの訴えに、無一郎はひどく面倒くさそうに、そして名残惜しそうにその動きを止めた。
「…何で君は、いい所で止めるかな」
不満げに眉をひそめる無一郎…。
やがて、 ゆきの内側をいっぱいに満たしていた熱い質量がゆっくりと収縮し、ドロッと容赦なく抜け落ちていく感覚に、 ゆきは小さく身震いした。
無一郎は気怠げな動作で、はだけた浴衣を簡単に羽織ると、そのまま切なげな視線を一度だけ ゆきに残し、隣の部屋の様子を見に足早に去っていった。
静まり返った部屋に取り残され、 ゆきは身体がどんどん快楽から覚めていくのがわかった。
恐怖と快楽の狭間で狂いそうになっていた熱が引いていく。
冷えかけた肌を抱きしめるように身を縮めながら、 ゆきは複雑な胸中のまま、何故だか深く、ほっとひと息をついた。
無一郎は、美月の部屋の襖を気怠そうに開く…
中では、美月が癇癪を起こしたのか母の形見である簪を鏡に投げつけ鏡が割れていた
おまけに腕から血も流していた。
驚いた無一郎は、気怠そうな表情が一瞬で解かれ慌てて駆け寄った。
「何しているの?怪我してるじゃないか?」
抱えられた美月は、涙を流しながら口を開いた。
「聞きたくない!二人の愛し合っている声なんか聞きたくない!」
いつも、丁寧な言葉遣いの美月がありのままの気持ちを無一郎にぶつけてきた。
「とりあえず手当をしよう…」
無一郎は、慌てて ゆきのもとに戻った。
「 ゆき!美月が腕をけがしちゃって…悪いけど、手当てしてほしい。」
言われるがままに ゆきは、乱れた着物を整えて隣の部屋へ向かった。