第101章 波乱の食事会〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】
台所から戻る途中、桶の縁を見つめ、水が零れないよう慎重に廊下を進むゆき。
賑やかな宴の喧騒が遠のいた廊下、不意に目の前に落ちた長い影に、ゆきは足を止めた。
「義勇、さん…」
見上げると、そこには少し火照った顔の義勇が立っていた。
先日、あの川辺で偶然再会した時の動揺も、その翌日に甘露寺さんの屋敷で言葉を交わし手紙を渡された時の胸の痛みも、まだ鮮明に残ったままだ。
「時透に持っていくのか?」
低く、どこか抑え込まれた声が静かな廊下に響く…。
「はい…冷たい手ぬぐいで冷やしてあげようと思いまして…」
これ以上、距離を詰めてはいけない。そう自分に言い聞かせてすれ違おうとした瞬間、ゆきの手首が不意に掴まれた。
強く…拒絶を許さない確かな力。
「持ってやる」
「え? でも、これは私が…」
「貸してみろ」
義勇さんは、私の手からそっと桶を取ると近くの床へ置いてしまった。
空いた両手で、今度はゆきの体をそっと壁際へと追い詰めた。
「えっ?義勇さん!?こ、困ります」
義勇の掌がゆっくりとゆきの頬を、包む
完全に酔った表情の義勇…なおも距離を詰めてくる
「…俺は毎晩、あの川辺でお前を待っていた。来る日も、来る日も、お前を待ちながら石を積み上げていた」
吐息混じりの告白に、心臓が跳ねる…。
「あの日、積み上げた石が一つ増えていた。お前が積んだんだろう、ゆき」
川辺であの積み上げられた石を見つけた時に…つい積んでしまった…だけど…
「確かに、あの場所にたまたま行きました…石も積み上げましたが…深い意味はありません」
「嘘だ」
震えた声だった。
義勇さんの熱い指先が、私の震える唇をそっと 撫でる。
「お前が俺を忘れていないことくらい、分かっている。これ以上、嘘で自分を偽るな…」
義勇さん…酔ってる…目が虚ろに見える…
「本当は、俺を拒みたくなどないだろう?」
「義勇さん…酔ってますよね?一緒にあちらに戻りましょう。お水飲んだほうがいいです。」
ゆきは、床に義勇によって置かれた桶を手に持ち廊下を、歩き始めた。
義勇は、腕の中から離れて行こうとするゆきを見て切ない表情を向ける
そして…