第110章 身体の異変〜冨岡義勇【R強】
「義勇さん、私幸さんともう少し詳しくお話ししたいです。降ろしてください」
不安げに身じろぎしながら訴えるゆきの声にも、義勇は一切耳を貸さない。そのまま彼女の部屋へと向かい、乱暴に襖を開け放つと、ゆっくりと畳の上に下ろした。
そしてゆきの逃げ場を塞ぐように、身体を壁際へと追い詰める。
「時透との子供で間違いないのか?」
向けられた急な問いに、ゆきはわずかに眉をひそめ、不満そうな表情を浮かべた…。
「無一郎くんとの子供です」
「言い切れるのか?」
「なぜ、そんな意地悪を言うんですか?」
意地悪?
意地悪を言っているんじゃない…
義勇は言葉を失いながらも、そっとゆきの頬に触れた。
今すぐ、あの嵐の夜に自分がゆきを抱いた事実を告げるべきか、激しい葛藤が頭を駆け巡る。
確かにあの夜、自分はゆきの中で何度も果てた。
この腹の命が、自分との間の子である可能性もゼロではない。
その時ゆきが、震える声で訴えてきた
「私は無一郎くんとしか…身体を重ねていません……」
潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめられながら、ゆきは切なそうに言葉を続けた。
「義勇さん…無一郎くんに伝えてもらえませんか? 赤ちゃんができたことを」
「俺が?伝えるのか?」
「前にも義勇さんに話しましたが、無一郎くんからは、任務に出てから一度も手紙が来なくて…」
「まだ送った手紙の返事もないのか?」
「はい」
以前に、確かに聞いていたがまだ手紙のやり取りが無いと言うことは…
やはり…
美月の妨害を直感した義勇は、これ以上彼女を傷つけまいと、冷たい言葉で現実を突きつける。
「時透には自分で伝えろ」
「でも!」
「連絡がないなら察したらどうだ」
「察するって、何を…?」
「…今はそれどころではないのだろう」
嘘でもそう言うしかなかった。
「あいつは、任務に行っているんだぞ。」
ゆきは、黙りこくり俯いてしまった。
「ゆき不安なら俺を頼れ、お腹の子の事は帰ってきてから話せばいい。」
義勇は、俯いて涙をためているゆきの顔を自分に向かせた。
親指で涙を拭い、静かにゆきを腕の中に抱きしめた。
言わなくていい…時透に…
俺の子かもしれないのに