第110章 身体の異変〜冨岡義勇【R強】
朝日が差し込む縁側には、昨日までの重苦しい空気を振り払うかのように、すっきりと体調を持ち直したゆきの姿があった。
彼女は柔らかい光を浴びながら、穏やかにそこに座っている。
その隣には、ぴったりと寄り添う幸の姿があった。
幸は愛おしげな視線を向けながら、ゆきの腰にさり気なく、腕を回している。
まるで恋人のように、自然にゆきに寄り添っている。
ゆきもまた自然と幸に、身体を委ねているようにみえた。
そんな二人に聞こえるように廊下の向こうから足音が響いた。
近づいてくるのは義勇だった…。
彼は二人の親密な距離感を嫉妬を含んだ瞳で見据えながら、足取りを速めていた。
「ゆき!今日は調子がいいのか?」
義勇の声が低く響く。
その声に驚いたゆきは、反射的に立ち上がろうとしたが、まだ完全に回復しきっていなかった身体がふらりと揺らいだ。
「あっ……!」
立ちくらみに襲われ、バランスを崩したゆきを、一足早く駆け寄った義勇が慌てて両腕で支える。
「危ない!大丈夫か?」
切迫した声で問いかけながら、義勇の手は自然とゆきのお腹へと伸び、そこにそっと触れた。
突然のことに、ゆきは戸惑いの色を浮かべながら義勇の顔を見上げる…。
自身が抱える秘密の兆候など知るはずもない彼女にとって、その行動の意図は全く理解できなかった。
義勇は、ハッと気付き、慌てて視線をそらした。
しかし、支える腰に回された腕はしっかりと固定されたまま離れず、お腹に添えられた手も優しく、まるでそこにある命を確かめるかのように離れない…。
動揺を隠せない義勇の横顔を見つめ、ゆきはかすかに息を呑んだ。
「義勇さん…?お腹…何で触っているんですか?」
不思議そうに、義勇を見つめるゆき…
「あの…それは…」
幸は、いつまでも隠してはいられない…と思った。
「師範が、ゆきさんのお腹に触れているのには理由があるのです。」
その言葉に、義勇は驚き幸を見た。
な、何を言うつもりだ。
正直まだ打ち明けてほしくない…。
先に嵐の夜の晩ゆきを抱いてしまった事を打ち明けてから話したかったからだ…。