第109章 妖しい三人の夜〜冨岡義勇【R強強】
嵐はどんどん激しさを増していた…しかし、部屋の中の空気は甘く濃密に煮詰まっていた。
「う〜ん…」
ゆきは半分眠りに落ちているのか、それとも熱に浮かされているのか、とろんとした瞳で義勇の胸元に顔を寄せる。
一度引き離されたはずなのに、その体は吸い寄せられるように義勇から離れようとしない。
義勇は、腕の中にある愛おしい重みと、乱れた呼吸を繰り返すゆきの艶っぽい姿に少し違和感を覚えていた。
「幸…一体何の酒を飲ませた?…もしくは、酒だけではないだろう?」
義勇が静かに問い詰めると、幸はフッと笑い、義勇を真っ直ぐ見据えた。
「師範の洞察力、お見事です。お酒に少量の媚薬的なものを混ぜました。気分を高めるもので体に害はありません」
「やはり…」
「なぜ、そんな事をした?」
「なぜ?もともとは、自分が飲むものでした。それをたまたまゆきさんが現れたので差し上げただけです」
そんな会話の最中も、ゆきは義勇にどんどん体を絡めるように抱きついてくる。
さらしを巻き、普段は完全に美男子として振る舞う幸。
義勇は、ゆきを見つめる幸の瞳に宿る熱に気づき、静かに問いかけた。
「幸…お前の心は…その…聞きにくいが…男なのか?」
幸は一瞬だけ瞳を揺らし、切ない笑みを浮かべた。
「……多分、そうなんだと思います。女として生まれたはずなのに、私の心はどこか男で…そして、あの日怪我をしていて助けたゆきさんに、一目惚れしてしまったんです」
隠し続けてきた痛切な告白だった。
しかし、ゆきはそんな二人を置き去りにするように、甘い吐息とともに義勇の首筋にすがりつく。
時透の婚約者だと分かっていても、幸の切ない想いを知ってもなお、無防備に自分だけを求めるゆきのぬくもりに、義勇は流されていく…
「師範、ゆきさんは今身体が言う事を利かない状態になっています。熱を逃がしてやらなければ…」
「熱を逃がす…?」
「はい。しかしゆきさんは霞柱の婚約者です。師範はどうこう出来ない立場…。」
義勇が、ぎゅっとゆきを抱きしめる。
「あっ…」
その抱きしめた刺激だけで、ゆきが甘い声を漏らす…
「よく効いてます。薬が…」
幸は、ゆきをじっと見つめた。