第109章 妖しい三人の夜〜冨岡義勇【R強強】
「師範、ゆきさんが苦しそうなので、こちらに寝かせて…どうか部屋を出てください」
幸は静かに指先を伸ばし、義勇の胸元にしがみつくゆきを気遣うように視線を注ぐ。
その眼差しには、愛おしさと切なさが揺れていた。
「何をするつもりだ?」
義勇は抱きとめた腕にほんの少し力を込め、低く問い詰める。熱に浮かされたゆきの甘い吐息が首筋をくすぐり、義勇の理性を削いでいく…。
離したくないという本能的な欲求が、僅かに腕を強張らせた。
「さっき言った通りです。熱を逃すのです」
「…ならば、俺も側にいる」
食い下がる義勇に対し、幸は哀しげにゆっくりと首を横に振った。
「婚姻前のゆきさんが熱を逃す姿を…殿方のいる前で見せるわけにはいきません。」
さらしで胸を締め上げ、線の細い青年にしか見えない幸。
だが、その身体は女だ。
だからこそ「男に見せられない」という言葉には拒みきれない説得力があった。
熱を逃す…? 一体、何をする気だ。
そもそも幸は、この媚薬を自分自身で飲むつもりだったと言った。
…飲んで幸はどうするつもりだったのか?一人で抑えきれぬ熱を抱え、何をしようとしていた?
まさか…男の心を持つ幸は、その薬の勢いに任せて、恋慕うゆきを我がものにするつもりだったのではないか。
「師範、部屋を出てください。」
「幸…聞くが、どうやって熱を逃がすんだ?」
幸は、フッと息をつきゆきを見つめながら答えた。
「媚薬的なものを、摂取しているので何度か果てれば熱は逃げおさまります。」
義勇は、驚き幸を見た。
「お前が、ゆきを果てさせると言うのか?駄目だ。」
「何故ですか?女同士です。身体の作りもよく分かっております。果てさせるくらい簡単です。」
義勇は、ゆきを身体をぎゅっと抱き寄せた。
甘い香りが、義勇の鼻先をくすぐる…。
「お前に、ゆきに触れてほしくない。俺が何とかするから出ていけ。」
「まさか…ゆきさんを、抱くつもりですか?」
外は嵐…
妖しい三人の長い夜が、始まろうとしていた。