第109章 妖しい三人の夜〜冨岡義勇【R強強】
外の激しい嵐の音が、三人の間に流れる濃厚な空気をいっそう際立たせていた。
義勇の胸元に顔を寄せるゆきを見かねて、幸がおもむろにその体を義勇から引き離した。
「ゆきさん。師範はお疲れなんですよ。ほら、私の方に来てください」
幸の膝の上へと移されたゆきだったが、義勇は静かに手を広げ、揺るぎない声で言った。
「俺は構わん。慣れている。おいで」
その言葉を待っていたかのように、ゆきは迷わず義勇の胸の中へと舞い戻った。
普段のゆきなら絶対にあり得ない、無防備で素直な甘え方。
これは酔った勢いなのか、それとも胸の奥底に秘めた、自分すら気づいていない本心なのか。
「部屋に連れて行く。お前も休め」
そう言って義勇は、ゆきの身体をふわりと横抱きにすくい上げた。
腕の中で大人しく身を委ねる愛おしい重みに、義勇の胸が深く鳴る。
「いえ。私もお供します」
幸の引かない視線にも動じず、義勇は「勝手にしろ」とだけ返し、客間へと足を進めた。
畳の上にゆきをそっと降ろしても、彼女の腕は義勇の首にしがみついたまま離れようとしない。
「ぎゆう…どこいくの…?」
潤んだ瞳で見つめられ、義勇の自制心のタガが甘く痺れるように外れていく…。
幸の視線を気にすることすら忘れたように、義勇はゆきの頬を大きな手で優しく包み込み、耳元でそっと囁いた。
「どこにも行かない。…お前のそばにいる」
その声は途方もなく甘く、低く熱を帯びていた。
ゆきは、ぎゅっと首にしがみついて離れない。
「…ぎゆう…」
名前を呼ぶ声に、義勇の胸はいっぱいになる…継子を辞めて出て行ったあの日…
自分に、もうこんなに甘えてくれる日は来ないと思っていた。
酔っていても構わない…本人は、訳がわからないのだろう、口から出た言葉も理解して言っていない事くらいわかっている。
だが…俺を今こうやって求めてくれている事が幸せで堪らない…。
そんな二人に、幸が声をかける
「あの…まさか一緒に寝るとか言いませんよね?」
幸が、ゆきの寝間着の裾を掴んだまま聞いてきた。
ゆきは、時透の婚約者だ…
そんな事…
出来るわけない