第109章 妖しい三人の夜〜冨岡義勇【R強強】
台所の隣にある、食事を準備するための小さな畳部屋
義勇が覗き込むと、そこには酒を口にしたゆきと幸の姿があった。
ゆきは完全に酔いが回っているようで、幸にぐったりと体を預けている。
着崩れた寝間着の隙間からは柔らかな素肌が覗き、どこか艶っぽい雰囲気を醸し出していた。
「おい! 何故酒を飲ませている?」
義勇の声に、幸がゆるりと顔を上げる。
幸自身も少し酔っているのか、頬がほんのりと赤い。
はだけた胸元からは、固く巻かれた晒がのぞいていた。
その姿は、女性というよりも、どこか浮世離れした男らしい色気を漂わせている。
二人が並ぶ姿は、一見すると美男美女の睦まじい男女そのものだった…。
「あれっ…? ぎゆう…?」
その声に反応したゆきが、足元をふらつかせながら立ち上がった。
そして当たり前のように、義勇の胸へと勢いよく飛び込んでいく。
「ぎゆう〜」
甘えた声で名を呼ばれ、義勇は一瞬、耳まで赤く染めて狼狽えた。
だが次の瞬間には、愛おしそうにその腕でゆきの体をしっかりと受け止め、離さぬように抱きしめた。
その光景を目の当たりにした幸は、驚きで目を丸くする。
「し、師範…? ゆきさん、一体どうしちゃったんですか…?」
ゆきの言動に動揺を隠せない幸に対し、義勇は腕の中の温もりを慈しむように視線を落としながら、静かに答えた。
「…昔からだ。こいつは酔うと、甘えてきて、俺をこう呼ぶ」
見たことのないゆきの無防備な表情と、彼女を愛おしそうに見つめる義勇の眼差し…。
二人の間に流れる濃厚な空気を前に、幸は胸の奥がざらつくのを感じながら、面白くなさそうにただじっと二人を見つめる。
「ぎゆう…」
そう言いながらゆきは、義勇の胸元に顔を埋める。
寝間着から覗く義勇の素肌に、ゆきの唇が直接触れる…。
身体に、電流がはしる…
悪戯をするように、ゆきは軽く唇が触れている首筋に吸い付く…
「ゆき…おいっ…」
「ん…?」
胸元に両手を置きながら下から義勇を見上げてくる。
堪らなく可愛らしい…
愛らしい…
酔うと名を呼び捨てで、甘えてくれるお前…
このまま抱き上げて部屋に連れて行きたいくらいだ…。