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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第108章 不安〜冨岡義勇【R】


抱きとめようと咄嗟に手を伸ばした幸よりも速く、義勇の強い腕がゆきの体をすっぽりと抱きとめていた。

「危ないじゃないか」

「ぎ、義勇さん…!」

不意の衝撃と至近距離にある義勇の顔に、戸惑う。

「また怪我をしたら大変だ」

「大丈夫です、もう歩けますし…あの、おろしてください」

恥ずかしさのあまりモジモジと身をよじるゆきの抵抗など、義勇はどこ吹く風だった。

ゆきをしっかりと抱えたまま、迷うことなく草履を脱ぎ、縁側からそのまま屋敷の中へと足を踏み入れる。

「義勇さん!?」

「部屋まで連れて行く」

有無を言わさぬ低い声。

そのまま静かに歩き出す義勇の背中を、庭に残された幸はただじっと、見つめていた。

自分の部屋へと運び込まれたゆきだったが、義勇は降ろすどころか、そのまま畳の上にあぐらをかいて座り込んだ。まるで小さな子供をあやすように、膝の上にすっぽりと収めた。

「あの…本当に、離してください」

顔を真っ赤にして腕の中で必死に藻掻くゆきだったが、義勇の腕はビクともしない。

義勇は顔色一つ変えず、淡々と告げた。

「聞いてくれ。…時透は、まだまだ任務から帰らないそうだ。それに甘露寺も伊黒と共に別の街へ赴くことが、今朝決まった。…甘露寺にお前のことを頼まれたんだ」

「えっ…甘露寺さんが…?」

その言葉に、ゆきの動きがぴたりと止まった。

安らぎを与えてくれていた存在が、遠くへ行ってしまう。

途端に、胸の奥から冷たい不安が押し寄せてきた。

鬼殺隊の隊士を離脱してからというもの、一切の稽古をしていない。

もし今、この屋敷に鬼が襲来したらどうなるのだろう。

身の回りの世話をしてくれている隠たちは戦えない。

今の私に、自分どころか隠たちまで守り切る力があるだろうか?

急激に膨らんでいく恐怖と不安に、ゆきはただ身をこわばらせることしかできなかった。

そんなゆきの表情を、義勇は見逃さなかった。

「だから、甘露寺にお前の事を頼まれたと言っただろう。」

そう言いながらゆきをぎゅっと抱きしめた。

「不安なんだろう?そんな顔をしている。」

「あ、あの…義勇さん…」

「大丈夫…俺が居るから。時透には、許可を取った。」

「え?無一郎くんに?」

「そうだ」
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