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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第108章 不安〜冨岡義勇【R】


義勇は、そっとゆきの肩から手を離した。

指先から伝わる体温を離しがたく思いながらも、諭すような穏やかな声で告げる。

「…困ったことがあれば、俺に言ってくれ」

その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられた。

義勇さん…ダメなの。義勇さんには頼れない…

義勇に対する申し訳なさと、自分の置かれた状況への葛藤に唇を噛み締め、俯きながら断りの言葉を口にする。

「無一郎くんには…甘露寺さんを頼るように言われていて。…ごめんなさい」

拒絶された義勇の表情に、かすかな寂しさが影を落とした。

しかし、義勇は責めることもなく、どこか切ない笑みを浮かべる。

「そうか…」

「ありがとうございます。そんな風に気にかけてくださって…」

「俺は……お前を、気にかけたいんだ」

まっすぐで温かい言葉。けれど今の自分にはその優しさが眩しすぎて、気まずさに耐えかねて再び深く俯いてしまった。

会話は途切れ、部屋は静まりかえる。

気まずい沈黙を破るように、精いっぱいの声を出した。

「…幸さんが、待っているんじゃないですか? 早く行ってあげてください」

これ以上ここに居てはゆきの負担になると悟ったのか、義勇は「…ああ」と小さく呟き、名残惜しそうに視線を彷徨わせながら部屋を後にした。

パタンと襖が閉まり、完全に一人の空間に戻ると、小さく息を吐き出して胸に手を当てた。

今日はいろいろなことが起こりすぎて、頭が混乱してる…

ふと視線を落とすと、机の上に置かれた紙飛行機の束が目に入った。無一郎が自分のために折ってくれたものだ。

足の裏の怪我をかばいながら、膝で這うようにしてそこまで移動する。

そのうちの1つを大切に手に取り、愛おしそうに胸元へ強く抱きしめた。

「無一郎くん…私、もう頭がぐちゃぐちゃになっちゃってるよ…」

ポロポロと涙が溢れ出し、紙飛行機を濡らしていく。

会いたい人の名を呟きながら、ただ静かに泣き続けた。

襖の向こうでは、義勇はまだ部屋の前に佇みゆきのすすり泣く声を聞いていた…。

部屋の中に戻り抱きしめたい衝動を抑えるのに、必死だった。







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