第107章 足の怪我〜時透無一郎【R強強】冨岡義勇【R微】
その日の夜、日輪刀の手入れを静かに終えた無一郎は、障子一枚で隔てられたゆきの部屋へと迷いなく入ってきた。
「ゆき。足の裏、怪我してるでしょ? お風呂に僕が入れたげるよ。」
ゆきはすでに女性の隠へ入浴の手助けを頼んでいたため、焦ったように言葉を返した。
「無一郎くん…もうすぐ、隠の人が来てくれるから…頼んであるの」
しかし、その言葉が終わるより早く、ゆきの身体はふわりと無一郎の腕の中に抱き上げられていた。
「隠は来ないよ。僕と一緒に入るからって、もう断っておいたから」
「えっ?でも…」
「いいから、言うこと聞いて」
断われる雰囲気ではなかった…ゆきはそのまま、抗うこともできずに脱衣場へと連れて行かれてしまった。
無一郎は手際よく大きめの手拭いを取り出すと、怪我をしたゆきの足が濡れてしまわないよう、丁寧に、優しく巻き付けていく。
そして、躊躇うことなくゆきの帯へと手を伸ばした。
「む、無一郎くん…待って! 自分で、自分で脱ぐから…」
流れに逆らうことができないゆきは、頬を染めながら自ら帯を解いていった。
無一郎はその一挙手一投足を、逃さぬようにじっと見つめている。
行灯の灯りに照らし出されるゆきの肌は、息をのむほどに美しく、儚げに見えた。
明日から始まる任務…美月とともに赴く村の調査は、どれほどの期間を要するのか分からない。
しばらく鳴りを潜めていた鬼たちが、再び活発に動き出している兆候のようにも思える。
無事で帰られる保証すらもない…
二度と会えなくなるかもしれない…
離れ離れになる時間が、否応なく無一郎の独占欲と焦燥感を強く刺激する。
居ない間に、あの人…冨岡さんに取られやしないかと心配でたまらない。
と、同時に自分が居ない間ゆきを守り切れるのは…冨岡さんだと分かっているのも事実だった。
脱衣所の床に腰を下ろし、恥ずかしそうに脱ぎ捨てた浴衣で必死に身体を隠すゆき。
そのいじらしく愛らしい姿を、無一郎は熱っぽい瞳で見つめ続けていた。