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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第107章 足の怪我〜時透無一郎【R強強】冨岡義勇【R微】


夕闇が静かに迫る頃、義勇と幸の二人は屋敷を後にした。

入れ替わるようにして、山での厳しい稽古を終えた無一郎と美月が戻って来た。

汗を拭いながら屋敷の廊下を歩いていた無一郎は、通りかかった隠から思いがけない報告を受けた。

昼過ぎ、義勇とその継子である幸が、この屋敷を訪れていたのだという。

その名を聞いた瞬間、無一郎の胸に小さな波紋が広がった。脚を速め、ゆきの部屋へと向かう。

そっと襖を開けると、行灯の控えめな光の下で、ゆきが一人静かに本をめくっていた。

「…隠から聞いたよ。昼過ぎに冨岡さんたちが来たって」

無一郎の声には、隠しきれない不機嫌さが滲んでいた。

稽古の疲労とは違う、どこか尖った響きが部屋の空気を揺らす…。

ゆきは本から視線を上げず、淡々とした調子で答えた。

「幸さんが、足の消毒に来てくれたの」

「ふーん。で、冨岡さんは何しに?」

膝の上で、ゆきは手に持つ本へ再び目を落とした。

ページを触る指先が、ほんの少しだけ強張っている。

「新しく出来た継子のことが、気になったんじゃないかな?」

どこか余計な追及をかわそうとするような、よそよそしい返答。

無一郎は眉をひそめ、いつもと様子の違うゆきをじっと見つめた。

その瞳はゆきの僅かな呼吸の乱れも見逃さない…。

ゆっくりと歩み寄り、ゆきの目の前で膝をつくと、無一郎は覗き込むように囁いた。

「違うでしょ。…冨岡さんが気にしてるのは、君のことなんじゃないの?」

ゆきと無一郎の視線が交差する。

「幸って子が足を消毒してくれただけ?冨岡さんとは何もなかった?」

「うん。幸さんに足を診てもらっただけだよ。」

無一郎は、安心したようにゆきを抱きしめた。

「今日さ、山で稽古していた時に鴉が来て任務が入った。明日からなんだけど、美月の出身の村で、村人が最近何人も行方不明になってるらしくて、鬼ともしかしたら関係あるかも知れないから、…調査に美月と二人で行く事になった。当分帰れないと思う…。」

これから、ゆきと無一郎の離れ離れの日々が始まろうとしていた…。


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