第107章 足の怪我〜時透無一郎【R強強】冨岡義勇【R微】
「義勇さん…そろそろ膝からおろしてください。誰かに見られたら大変です」
膝の上で囲い込むように抱きしめられたまま、ゆきは困惑して訴えた。だが、義勇は腕の力を緩めようとしない。
「心配ない。戸は全て閉めてある。誰に見られることもない」
「だからって…困ります…」
戸惑う姿を見かねたのか、義勇は渋々といった様子で抱え直し、ゆっくりと布団の上へ横たわせてくれた。
…だが、安堵したのも束の間だった
「えっ…義勇さん!?」
義勇は、ゆきの上へと覆いかぶさってきたのだ。
至近距離で見つめ返され、心臓が激しく跳ね上がる。
「この部屋で…お前は時透に抱かれているのか?」
耳元で低く囁かれた問いに、ゆきの顔が一気に熱くなった。
「そ、そんなこと聞かないでください!」
動揺を隠せないでいると、義勇は大きな手を頬へ伸ばし、親指の腹でそっと唇を撫でた。その指先から伝わる熱に息が詰まる。
「俺も…お前を抱きたいと言ったら、どうする?」
「だ、ダメに決まってるじゃないですか…!」
必死で義勇を押しのけようと羽織を掴み、力を込める。
しかし、鍛え上げられた体はびくともしない。逃げ場のない体勢に、焦りが募っていく。
「義勇さん、本当にお願いです、離れてください!」
「嫌だと言ったら?」
熱を帯びた瞳で見つめられ、義勇の唇が触れそうなほど近づいた瞬間…ゆきは咄嗟に叫んでいた。
「さ、幸さん!!」
まさか幸の名前が飛び出すとは思っていなかったのだろう。
義勇は驚いたように目を見開き、ぴたりと動きを止めた。
間もなく襖がパンっと勢いよく開く。ゆきに覆い被さる義勇の姿を見て幸は驚くがすぐに、その場に正座して頭をさげた。
「師範、ゆきさんを離してあげてください。怯えております。傷にも障るのでどうかゆっくりさせてあげてください。」
義勇は、ゆきから離れた。
すると、すかさず幸がゆきの元へ近づいてゆきを、抱き起こし手を握りながら、動揺しているゆきの頭を、優しく撫で落ち着かせていた。