第24章 指南
…御館様の病気が進行しているのは
しのぶちゃんから聞いていた。
それでも私の為に
わざわざ手紙を書いてくれて、冨岡さんとの事を心配してくれて…
私の背中を押してくれたようにも思えた。
御館様も病気で辛いはずなのに
私達のことを気に掛けるなんて、本当にあの人の優しさには頭が上がらない…。
御館様に感謝の気持ちでいっぱいになりながら
無我夢中で数時間走り続けていると、
目的地である狭霧山に到着し、山を少し登ったところに、一軒の小屋があるのを見つけた。
『はぁ、はぁ……、ここ…かな…』
勢いで来たはいいけど
冨岡さんを育てた元柱の人に会うことに緊張はするわけで…
走ってきた事で乱れている呼吸を
古屋の入り口の前で整えていると、背後に人の気配を感じ、私は勢いよく振り返った。
『っ…!!』
「隊服を身に纏っている所を見ると
鬼殺の剣士だな…、儂に何か用か?」
『あ…、はいっ!鱗滝さん…ですよね…?』
視線の先には天狗のお面を付けた
白髪の年配の男性。
足音を立てずに私の背後に立っていた事から
元柱である事にもすぐに納得できて…、
私は一度頭を深く下げお辞儀をしてから
自分の名を名乗った。
『初めまして、 と申します。』
「…。そうか…、お前が義勇の…」
『ご存知だったんですね…』
「お前達の事は有名だ。
…入りなさい、茶でも淹れよう。」
『あ…、はい…、お邪魔します…。』
とりあえず追い返されなかった事に安堵した私は、鱗滝さんの後に続いて小屋の中へと移動した。
囲炉裏の前で姿勢を正しながら待っていると、鱗滝さんはお盆にお茶の入った湯呑みを持って来てくれて
鱗滝さんも私の前に胡座をかいて座っていた。
「…名をと言ったな?
儂の元を訪れた訳を聞かせてもらおう。」
『っ、はい…』
本当は冨岡さんとの事を話すのは辛かったけど、私は鱗滝さんに全てを正直に話した。