第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※
そしてついに最後。
雄英を出る前日の夜。
は覚悟を決めて、その人の部屋を訪れた。
扉を開けた相澤は、一瞬だけ目を見開く。
相「……」
無精ひげも、疲れた目も、いつも通り。
声の低さ、雰囲気、全てが安心する。
「……少し、会いたくなって」
それだけ言うと、相澤は何も聞かなかった。
ただ、体を横にずらして道を空ける。
相「……入れ」
部屋は静かだった。
夜の雄英。
カーテン越しの月明かりだけが、淡く床を照らしている。
ふたりきり。
それだけで、胸が苦しくなる。
相「……調子は」
「……大丈夫です」
嘘だと、わかった。
でも、それ以上踏み込まないのが、今までの2人だった。
は、座る相澤の隣に腰を下ろす。
少し近いだけで、心臓がうるさくなる。
触れたい。
抱きしめて欲しい。
無意識に、は相澤の袖を掴んでいた。
「……あ」
相澤が、視線を落とす。
相「……どうした」
その声に、の押さえ込んでいた感情が溢れ出す。
涙があふれる。
離れたくない。
ずっと隣にいたい。
そばにいて欲しい。
そんなわがままで身勝手な感情がとめどなく溢れてくる。
相「泣くな…大丈夫だ。俺がいる」
そうやっていつも、近くで支えてそばにいてくれた。
何があっても味方でいてくれて、どんな小さなことにも気付いてくれて、守ってくれて、優しくしてくれて、愛してくれて。
だから、だからこそ、好きになった。
「消太さん……。抱いて…ください…」
その一言で、相澤の中で、何かが音を立てて崩れた。
相「……っ」
呼吸が、やけに重い。
相「……それは……」
言いかけて、言葉を飲み込む。