第45章 輝く舞台、愛される存在
そして舞台裏のブースへ押し込まれた瞬間、はさっきライブ衣装へ着替えたのと同じ部屋に連れていかれた。
「先生、こちらに着替えお願いします!」
そう言って手渡されたのは、落ち着いた黒で統一された、シンプルなのに上品なロングドレス。
今着ているステージ衣装は、何も言わずにするすると外されていく。
呆気にとられたまま、は新しいドレスの袖に腕を通した。
鏡を見る。
「……わぁ」
そこに映ったのは、先ほどのアレンジ入りライブ衣装とはまったく違う雰囲気の、身体のラインにそっと沿うようにタイトなシルエットを描くマーメイドドレス。
膝下からゆるやかに広がる黒の布が、歩くたびに静かに波打つように揺れる。
派手さよりも気品をまとった、まさに“女神の静かな本気”が現れたような一着だった。
「ふふっ……最初を飾るには、王道が一番ですから。」
「……最初って……?」
聞く暇すら与えられない。
次々と、ドレスに合うアクセサリーや細いストラップのパンプスが運び込まれてくる。
「ピアスつけますねー」「手首はこちらです!」
「パンプス履いちゃいましょう!」
言われるがままに身につけていくと——
最後の留め具を止めた瞬間。
はふと胸の奥があたたかくなるのを感じた。
……なんだろう。
誰のためでもなく、自分の内側の美しさだけをそっと浮かび上がらせたようなドレスだった。
まるで最初から自分のために作られていたみたいで、自然と微笑みがこぼれた。
裾を整えられ、最後のピンが留まる。
「先生、もう時間がありません!」
ひょいっと腕を取られ、そのまま舞台袖へと連れていかれる。
足元のマーメイドドレスがひらりと揺れ、
——そして、混乱のまま明るいステージへ押し出された。