第45章 輝く舞台、愛される存在
嬉しさで胸がいっぱいになる。
でも同時に、困ってしまう。
(どうしよう……本当に、もう一曲……?)
不安が胸をかすめる。
ふと、ギターの弦が指に触れた瞬間、あったかい感情がこみ上げてきた。
(……うん。せっかくの文化祭だもんね。みんなと一緒がいいよね)
マイクに口を寄せ、少し照れたように笑う。
「それじゃあ……もう一曲だけ。せっかくの文化祭だから、みんなで歌える曲にします!」
会場が一瞬で沸いた。
はギターを軽く弾きながら、客席に優しく視線を向けた。
「次は……みんなもよく知ってる曲。ちょっと恥ずかしいけど、せっかくなら一緒に歌ってほしいなって思って」
期待でざわつく生徒たち。
にこっと笑って、コードを鳴らした。
指が作る音は、さっきより明るくて、軽やか。
ギターの軽やかなストロークが体育館に響く。
そしてギターの音は止み、の声だけで曲が始まった。
その瞬間。
「あ!!!」と、ざわめきが走った。
誰もが知っている、あの曲。
胸の奥が熱くなるような、まっすぐな青春の匂い。
は少し照れながらも、客席に向けてぱっと笑顔を咲かせた。
夢を描く痛みすら、前へ進む力に変えていくような、まっすぐで温かくて、少し切ない歌。
の声は、さっきのバラードとは違い、明るくて伸びやかで、前に進む強さがあった。
さっき泣いていた子たちも、今は目を輝かせている。
サビ前、自然と誰かの声が重なった。
1人、また1人。
歌詞を思い出すように、そっと口ずさむ。
そしてサビに入った瞬間。
会場が割れるほどの大合唱!!
全校生徒の声がの歌声に重なり、会場を突き抜けるような響きに変わる。
ステージの照明が温かく、の頬がほんのり赤く染まる。
壊理ちゃんも、小さな声で懸命にサビを歌っていて、通形は涙目になりながら笑っていた。
雄英がひとつになっていた。
は胸いっぱいの幸福を抱えながら、最後のコードを鳴らす。
ギターの音が消えた瞬間、会場は涙、笑顔、興奮。
すべてが混ざった大歓声で溢れていた。