第44章 生まれた日、届いた言葉
マ「ったくは、そういうこと普通にやってのけるよな〜。しかもさ、こっちが気遣わねぇくらいの丁度いいプレゼントで、なのにちゃんと自分のために選んでくれたんだな、ってーのがわかるんだよな。ほんとすげぇわ」
大袈裟に肩をすくめる。
マ「俺なんか嬉しすぎて心臓飛び出そうになったもん」
ミ「あなたは何貰ったの?」
マ「俺?俺はヘアバンド!」
得意げに笑う。
マ「毎朝使ってるぜ!それにそのまま持ち歩いてる、お守りとして!」
ミ「何してんのよ!」
マ「だぁって〜!からのプレゼントだぜ!?嬉しいじゃん?」
「ふふ。喜んでもらえてよかったです」
楽しそうに笑う。
そんなを囲んで、マイクとミッドナイトも笑っていた。
その輪の中へ、相澤は入らない。
ただ静かに、紙袋を抱え直す。
マグカップひとつで、こんなにも心が満たされるなんて。
——本当に、敵わない。
そう思いながら、小さく息を吐いた。
会話がひと段落すると、職員室は再びいつもの空気へ戻っていく。
それぞれが仕事へ戻り、静かにキーボードを叩く音が響き始めた。
相澤は机の上に置いた紙袋へ視線を落とす。
ゆっくりとラッピングを外し、中からマグカップを取り出した。
飾り気のない、落ち着いた色合い。
シンプルだからこそ、毎日使える。
相澤の表情はいつもと変わらない。
けれど胸の奥は、柄にもなく穏やかに緩んでいた。
箱の中に入っていたドリップコーヒーを一つひとつ眺める。
どれから飲もうか。
そんなことで少し悩む時間さえ、不思議と嬉しかった。
少し離れた席では、がそんな様子をそっと横目で見ている。
もう使ってくれてる。
その事実だけで胸が温かくなり、自然と口元が緩んだ。
相澤はマグカップとドリップコーヒーを持って席を立つ。
向かった先は給湯室。
封を切ると、ふわりと香ばしい香りが広がる。
ゆっくりとお湯を注ぐ。
ぽたぽたと落ちるコーヒー。
立ち上る湯気とともに、深く落ち着いた香りが給湯室いっぱいに満ちていった。