第43章 響く歌声、癒される心
相澤は、一音も、ひとことも逃すまいと耳を傾ける。
が“好き”だと言った歌詞を、まるごと胸に刻むように。
静かに心に歌詞が零れ落ちていった。
は、相澤だけに語りかけるように、一つひとつの言葉を大切に紡いでいく。
“愛”という感情を最初から最後まで描き切った物語みたいだった。
自分を嫌いになる夜も。
誰かを想って笑う日も。
失うことが怖くて震える心も。
命を懸けても守りたいと願う覚悟も。
そのすべてが”愛”だと。
人が誰かを大切に思うことで生まれる。
優しさも弱さも、生きる意味も。
そんな"愛"の全てを詰め込んだような。
大切な人を”神様”と呼ぶほどの、絶対的な愛を綴った歌だった。
世界の優しさも、生きる意味も、その人がいて初めて成り立つ。
そんな、一途で少し危ういほどの想いを、美しい言葉で歌い上げていた。
曲が終わり、相澤は言葉にならない気持ちが込み上げていた。
「どうでした…?」
相「…あ、いや…、凄すぎて……」
「ふふ、ですよね。わかります。私も最初聴いた時、びっくりしたんです」
違う。
確かに歌詞も凄い。
だがその歌詞に乗せる音楽、そして歌詞に乗せる気持ち。
まるでの言葉みたいに、相澤にグサグサと刺さった。
誰を想いながら歌った?
何を考えながら歌った?
の頭の中に、心の中に、心臓の隅にでも。
自分が居ればいいなと、そう思った。
気付けば、相澤はを抱きしめていた。
「消太さんっ…」
相「……初めてだ。歌に、心を動かされたのは」