第43章 響く歌声、癒される心
相澤は、病室の入口でその光景を静かに見つめていた。
腕を組んだまま、表情はいつもと変わらない。
でもその瞳は確かに、安堵と優しさで揺れていた。
は壊理ちゃんを抱きしめたまま、続ける。
「……知ってる?神様はね、誰も隅っこで泣かないように、地球を丸くしたんだって」
その言葉を聞いた緑谷、通形、そして相澤は心臓が掴まれた。
なんて、優しい言葉なんだろう。
壊「え…?」
「だから壊理ちゃん。1人じゃないよ。大丈夫。泣いてても、誰かが傍に居てくれる」
壊「でも、私のせいでルミリオンさんは力をなくして…」
通形はそんな壊理ちゃんの頭に優しく手を置いた。
通「さっきさんも言ってたけどね、苦しい思いしたなんて思ってる人は居ない。みんな、壊理ちゃんが無事でよかったってそう思ってる。みんな、君の笑顔が見たくて戦ったんだよ」
その言葉の後に、壊理ちゃんは頬を引っ張って、無理やり笑おうとした。
でも、できなかった。
壊「ごめんなさい…。笑顔ってどうやればいいのか…」
その言葉に、胸がきゅっと痛む。
まだ壊理の心には、治崎の影が絡みついている。
緑谷は必死に考えた。
壊理ちゃんが、ほんの少しでも笑えることはないか。
そしてぱっと目を輝かせ、相澤の元へ駆け寄った。
緑「!!相澤先生!壊理ちゃん、1日だけでも外出できないですか?」
相「無理ではないと思うが…。というかこの子の引き取り先を今…」
緑谷は被せるように続ける。
緑「じゃあ!!壊理ちゃんも来れませんか?文化祭!!」
その一言で、病室の空気がぱっと明るくなった。
相「なるほど…」
「ほんとだね!いいね文化祭!」
壊理ちゃんは小首をかしげる。
壊「文化祭?」
通「壊理ちゃんこれは名案だよ!文化祭っていうのはね…」
通形が楽しそうに説明するにつれ、壊理ちゃんの表情は少しずつ、ほんの少しだけ柔らかくなっていく。
相「わかった、校長にかけ合ってみよう」
早速、相澤が動く。
壊「私…考えてたの…。さんたちのこと、もっと知りたいなって考えてたの!」
「うん!私にも壊理ちゃんのこと、たーくさん教えて?」
通「嫌ってほど教えるよ!校長先生にいい返事が貰えるよう俺達も働きかけよう!」