第43章 響く歌声、癒される心
そして翌日、朝9:00。
扉をそっと開けると、相澤が静かに立っていた。
「消太さん、おはようございます!」
相「おはよう」
短い挨拶。
それでも、次の瞬間に頭へぽんと乗るあの大きな温度が、の胸をじんわりほどいていく。
緑谷と通形も合流し、4人で壊理ちゃんのいる病院へと向かった。
病室まで行き、扉をガラガラっと開けた。
緑&通「壊理ちゃん!」
ベッドの上で丸くなっていた小さな体が、びくっと肩を揺らす。
壊「あ…」
「壊理ちゃん」
後からも続いた。
壊「、さん」
わずかに震える声は、でも確かに嬉しさを含んでいた。
通形は持ってきたフルーツの盛り合わせを差し出した。
壊理ちゃんが好きだというりんごを、は迷いのない手つきで剥き、薄く切ったそれを壊理ちゃんの前にそっと置く。
相澤は病室の入口でその姿を見守っていた。
「はい、どうぞ」
壊「あり、がと……」
壊理ちゃんは、りんごに視線を落としたまま、ぽつりぽつりと言葉をこぼし始めた。
壊「ずっとね、かんがえてたの…。たすけてくれたときのこと。でも…おなまえが分からなかったの…。ルミリオンさんしか分からなくて、知りたかったの」
顔を上げて、緑谷の瞳をまっすぐ見つめる。
緑谷は、"デク"だよと優しく自己紹介をした。
壊「ルミリオンさん…、デクさん…、めがねをしてたあの人…、それから…さん…。みんな、わたしのせいでひどいけがを…」
ナイトアイのことは伝えていなかった。
痛みも、罪悪感も、全部抱え込んでしまうから。
壊理ちゃんは涙を滲ませながら続けた。
壊「わたしのせいでくるしい思いさせて…ごめんなさい……」
ぽたり。ぽたり。
涙が膝の上に落ちるたび、胸が締めつけられる。
はそっと腰を落として、目線を合わせた。
「壊理ちゃん。前にも言ったけど、壊理ちゃんのせいで傷ついたんじゃない。壊理ちゃんが傷つけられてきたことに、みんなの心が痛かっただけだよ」
は壊理ちゃんを優しく抱きしめた。
包み込むような、やさしい、あたたかい腕。
壊理ちゃんはひゅっと息を詰まらせたあと、堰を切ったようにの胸に顔を埋めて泣きじゃくった。