第43章 響く歌声、癒される心
「うーん…どうしようかな…じゃあ次は…もう少しアップテンポな曲を。響香、一緒に歌おう。私は下歌うから」
耳「えぇ?でもウチ、曲知らな…」
「ぜーーったい知ってる!弾いたらすぐ分かる!」
そしてが1音目を鳴らす。
耳「!!」
それは、誰もが一度は耳にしたことのある、まっすぐで、真っ白で、どうしようもなくピュアな恋の歌。
好きという気持ちが膨らむたび、世界が少しだけ優しく見える——
そんな瞬間を閉じ込めた小さなメロディ。
片想いの胸の痛みも、手を伸ばせば届きそうな未来も、全部ひっくるめて「君が好き」を叫ぶような歌。
海風みたいにどこまでも届いてほしいと願った、あの、みんなが知っている恋の歌だ。
2人の声は綺麗に重なり、心地よく耳に入ってくる。
歌い終わると、葉隠が楽しそうに言う。
葉「2人のハモリやばー!!!ほらー相澤先生も先生にお願いしてくださいよ~!」
相「確かによかった……が、文化祭は生徒のもんだ」
「「「「「えぇぇぇぇーーー!!」」」」」
大きな落胆の声。
だがその中で、相澤はほんの少しだけ口元を緩めた。
相「……そういえば今年は、の特別ステージをするとか言ってたな…。マイクが張り切っていた」
やれやれ…と言った様子で頭を搔いている。
「えっ!?聞いてないんですけど!?!?!?」
相「…今言った。なんでも、経営科の案らしい。今年は文化祭に来れる人に制限がある分、今話題ののステージがあればいつも以上に盛り上がるだのなんだの…。はぁ…。何するかはまだ決まってないみたいだが……まぁでも、候補に入れてもいいかもな」
にやり。
そのイタズラみたいな笑みに、は「えぇぇえ~~~!?」と声を上げ、A組は大歓声で跳ね回った。