第43章 響く歌声、癒される心
よし、と息を吐いて、再度空気を肺に取り込む。
の声が響いた瞬間から、リビングの雰囲気は一変した。
綺麗な歌声が部屋に響く。
透明で、まっすぐで。
なのに、どこか“痛み”の温度がある声。
甘いのに刺す。
澄んでいるのに震えが走る。
温かいのに泣きたくなる。
A組の表情が、ぽかん、とゆっくり解けていく。
誰も瞬きを忘れて、ただ息を呑むように、胸の奥を掴まれたように聴き入っていた。
歌詞の一つ一つが胸に落ちるたび、みんな、息すら浅くなる。
耳郎の目が大きく見開かれ、八百万は胸に手を当てて、切島は呟くことすら忘れ、芦戸は目尻をじわっと滲ませ、緑谷は涙を浮かべながら口を押さえていた。
その中でも、爆豪と轟は別格だった。
爆豪は腕を組んだまま俯いている。
表情は見えないのに、僅かに震える肩がすべてを物語っている。
爆(……なんで……こんな……心臓が……うるせぇ……)
初めて聴いた声に、胸の奥が焼けるようにかき乱されていた。
轟は、一切瞬きすら忘れての唇を見つめていた。
轟(あぁ…やっぱり、綺麗だ)
ただ。
ただ、あたたかさと愛しさで胸がいっぱいで。
声の熱も、表情も、想いの温度も全部拾うように、一点を見つめて動けなかった。
曲が静かに終わる。
ぽつん、と空気が揺れて。
誰も言葉を発せず、しばしの静寂。
その沈黙は、感動の証だった。
そして、耐えきれなくなったように誰かが息を吸い、次の瞬間、
「「「「も、もう一回!!!」」」」
リビングが爆発した。