第43章 響く歌声、癒される心
そして――
「みんな、久しぶり」
リビングのドアから顔を覗かせたのは、退院したばかりのだった。
その姿を見た瞬間、A組の空気がぱぁっと明るくなる。
「先生!!!」
「ほんとに大丈夫なんですか!?」
「無理しないでくださいよ!」
心配と安心と喜びが一気に押し寄せたように、全員がに駆け寄っていった。
その中でも、2人は反射的に誰よりも早く動いていた。
爆豪は勢いそのままに駆け寄り、ギリギリ触れない距離で急停止すると、奥歯を噛みしめた。
爆「……っ、どんだけ……心配したと思ってんだよ…………」
言いながら視線を逸らす。
けれど震える声が、どれだけ本気だったかを全部語っていた。
爆「…よかった…………」
爆豪だけにしか出せない、真っ直ぐな愛情。
一方、轟は歩幅を崩さず静かに近づき、すぐそばでふっと表情を緩めた。
轟「……おかえり。……無理してないか?」
言葉は少ないのに、滲む優しさは一番深い。
触れずとも包み込むような温度で見つめてくる。
が頷くと、轟はほっと胸を撫で下ろした。
「心配かけてごめんね。みんなありがとう」
ふっと微笑むいつものに、皆の心は和んだ。
「ところで、文化祭は何するか決めたの?」
葉隠と芦戸が元気よくに説明する。
「へぇ~!焦凍が提案したの?いいね!!」
上鳴がふと思い出したように声を上げる。
上「そういえば…先生、好きなバンドの弾き語りしてたんだって?」
「え…誰からそんな……」
耳「え、弾けるんですよね? ちょっと…聴きたい!!」
芦「賛成~!!先生の弾き語り聴きたい!!」
気づけば“お願いモード”のA組に囲まれていた。
「え、えぇ~!? い、今ここで……?」
耳郎がにやりと笑ってギターを差し出す。
耳「はい、どうぞ先生!」
押しに負けて、はそっと弦を鳴らす。
(何歌おう…久しぶりだな)