第42章 戻らない未来、守りたい命
ミッドナイトはそんなを見ながら、ふっと笑う。
そして耳元へ顔を寄せた。
ミ「ねぇ」
小さな声。
ミ「相澤くん、ずーっとあなたの席見てたわよ♡」
「えっ」
ミ「ずっと、寂しそうだった♡」
思わず顔が熱くなる。
慌てて視線を向けると。
職員室の奥、相澤はいつも通りの顔をしていた。
だが目が合った瞬間、ほんの少しだけ表情が柔らかくなる。
それだけだった。
それだけなのに、胸が温かくなる。
相澤はしばらくを見つめたあと、小さく息を吐いた。
そして、誰にも聞こえないくらい小さく唇だけが動く。
相「おかえり」
声はない。
けれど、にはちゃんと分かった。
心配したことも。
無事でいてくれた安堵も。
帰ってきてくれて良かったという気持ちも。
全部。
全部。
その言葉の中にあった。
は少し目を見開く。
それから、ふわりと笑った。
同じように、唇だけを動かす。
「……ただいま」
相澤は何も言わない。
ただ、少しだけ目を細めた。
それだけだった。
胸の奥がじんわりと熱くなる。
相澤は騒がない。
けれど、賑やかな職員室の光景を眺めながら、静かに息を吐いた。
――あぁ、帰ってきたんだな。
良かった。
心の奥に張り詰めていたものが、少しだけ解けていく。
ミッドナイトが楽しそうに笑っていた。
しばらくして、は自分の席へ向かう。
少しの間空いていた席。
見慣れた机。
積まれた書類。
窓から差し込む夕日。
そっと椅子に腰を下ろす。
たった数日居なかった。
それだけなのに、不思議と胸がいっぱいになった。
戦いがあった。
苦しいこともあった。
怖い思いもした。
それでも、ちゃんと帰ってくることができた。
職員室には相変わらず賑やかな声が響いている。
その音が、どうしようもなく心地良かった。