第42章 戻らない未来、守りたい命
そんな時だった。
コンコン、と軽く扉が叩かれる。
振り返ると、そこには校長が立っていた。
校「くん、相澤くん。少しいいかな?」
2人は顔を見合わせる。
&相「はい」
校長は2人を連れ、そのまま校長室へ向かった。
校長室へ入ると、校長は机の引き出しから小さなケースを取り出した。
校「実はね。以前から病院に頼んでいたものが完成したみたいなんだ」
そう言って、ケースをへ差し出す。
校「君の発作を抑えるためのものだよ」
は驚いたように目を瞬かせた。
「…もう、できたんですか?」
校長は穏やかに頷く。
校「これで、少しは安心できるかな」
そっとケースを受け取り、は嬉しそうに微笑む。
「ありがとうございます」
その様子を見ながら、相澤も静かに口を開いた。
相「……良かったな」
短い一言。
その声には確かな安堵が滲んでいた。
発作が起きるたび、苦しそうに息を乱すを見てきた。
少しでも負担が減るのなら、それが一番いい。
……そう思う。
思う、のに。
胸の奥が、ほんの少しだけ静かに疼いた。
発作が起きれば、は自分を頼ってくれた。
苦しそうに名前を呼び、震える身体を預けてきた。
触れて、抱きしめて。
そんな時間がなくなることを、ほんの少しだけ寂しいと思ってしまった自分がいた。
相(……何考えてんだ)
薬で落ち着くなら、それが一番いい。
そう言い聞かせるように、相澤は静かに息を吐いた。