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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第42章 戻らない未来、守りたい命


その翌日、通形は退院していった。
もちろん、の病室に顔を出して。

通形は昨日よりずっと明るい表情で、もようやく笑顔を返せるようになっていた。

そしてはゆっくりベッドを降り、スリッパの音を小さく響かせながら病室を出た。

向かった先は、同じフロアの端。

コンコン、と優しくノックする。
返事はなかったが、怯えさせないようゆっくりと扉を開けた。

ベッドの上に、小さな女の子が一人。
両膝を抱え、肩をすぼめている。
その表情は固く、まるで世界のすべてを疑っているような、痛々しいほどの怯えがにじんでいた。

「壊理ちゃん」

柔らかく透き通る声が病室に溶け込む。

壊「あ…、おねえさん……」

「こんにちは。体調どう?少しお話しない?」

壊「…うん。する。おねえさん、おなまえ……おしえて」

はそっと微笑み、簡単に自己紹介をした。
壊理はぎこちなく頷きながらも、ずっと目を伏せたままだ。

そして、ぽつりと。

壊「あの……さん。ごめんなさい……わたしのせいで……いっぱい、けが……」

壊理の小さな声が震え、涙がぽろりと落ちた。
その涙は幼い子どもの泣き方ではなく、罪を背負わされた子どもの泣き方だった。

は胸がぎゅっと締め付けられる。
ベッドのそばに腰を下ろし、壊理の視線の高さに合わせる。
決して急がず、決して脅かさず、ただそっと傍に寄った。

「壊理ちゃんのせいで傷ついたんじゃない。壊理ちゃんが傷つけられてきたことに、わたしの心が痛かっただけ」

壊理「……っ」

「だからね……泣いていいの。痛かったね、怖かったね。でももう、大丈夫だからね」

その言葉を聞いた瞬間、壊理の小さな肩が震え、堪えていた涙が静かにこぼれ落ちた。

はそれを、そっと受け止めるように寄り添った。

泣いて疲れたのか、の胸の中ですーっと眠りについた壊理。
ゆっくりと起きないように寝かせて、は病室を出た。

心は温かかった。
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