第42章 戻らない未来、守りたい命
立ち上がろうとしたの身体がふらりと揺れた瞬間、すぐに支えたのは相澤だった。
相「…大丈夫か」
耳元に落ちる声が、やさしくて、少し苦しそうで。
背に添えられた手は驚くほど温かい。
その温度だけで、涙がまたこぼれそうになる。
火葬が終わり、煙が薄く消えていく空。
はその場で静かに立ち尽くしていた。
相澤に支えられながら会場を後にする。
通形は涙を拭いながらの傍に寄った。
それでもまっすぐにを見つめて言った。
通「さん……サー…最後の最後まで、さんの未来を案じてました」
の肩がわずかに揺れる。
その震えを見逃さず、相澤がそっと背に手を置く。
通「だから俺…信じてます」
通形の声は涙で掠れても、芯だけは折れていなかった。
通「悲しい時ほど……笑っていましょう。それがサーの願いでした。だからさん…どうか」
“笑ってください”
声にならなかった最後の一言が、胸を締めつけた。
ミリオの言葉を受けて、はもう限界だった。
ぎゅ、と指が震え、視界が歪んだ瞬間――
そばに居た相澤が迷わず抱きしめた。
強くじゃない。
でも、逃げ場も作らない“包む”抱擁。
相「…今日だけだ」
耳元に落ちた声は、驚くほどあたたかくて。
相「今日だけ我慢せずに泣いていい。でも明日からは…笑え。……それがナイトアイの望む"未来"だ」
その言葉で、は堰を切ったように涙を流した。
相澤は背をゆっくり撫で、自分の胸元にそっとの額を預ける。
相「……苦しいなら、ここで呼吸しろ」
静かなのに、どこまでも甘い声。
心臓の音が少し早くて、それがまた苦しいほど優しかった。
相「一人で立つ必要なんか、どこにもない」
抱きしめる腕に少し力がこもる。
相「俺が支える。折れそうなら、何度でも抱き上げる」
その低い声は、告白じゃないのに、告白よりも深く響いた。