第42章 戻らない未来、守りたい命
しかし――
光は……現れなかった。
機械の音だけが無情に響く。
触れているはずの指先が、あまりに冷たく、あまりに静かで。
「な……んで、どうして………」
の中で、ある可能性が胸を刺した。
(………望んで、ない?)
が治したいと思わなければ個性は発動しない。
そして、相手が望んでいなければ、がどれだけ治したいと思っても治らない。
まるで返事のない祈りのように。
涙をぽたぽた落としながら、は震えた声で問いかける。
「どうして………、なんで…」
ナイトアイは、弱りきった体で、しかし確かな意思だけを宿して、の頬へ手を伸ばす。
ナ「……君の個性は……優しい……相手の願いを…叶えてしまう……」
喉の奥で血が絡む。
ナ「……だから……光らなかった……。私は……もう……治らなくていいと……思っている……。君が……生きていてくれれば……それで……いい……」
「そんな……そんなの……っ……私……望んでない……!!」
ナ「……君の願いは……届いている……。だが……君が倒れる未来だけは……見たくない……。君の命を代価にしてまで……私は……治されたくない……」
その瞬間、の胸の奥が悲鳴のように痛んだ。
個性は応えている。
誰よりも、ナイトアイの願いに。
その優しさが、にとっては残酷だった。
ナ「……君が……触れてくれただけで……十分なんだ……」
微笑むその表情は、幸せそうですらあった。
ナ「……最後に……こんなに……温かい願いを……向けてもらえるなんて……。私は……幸福者だよ…………」
「未来さん……っ……やだ……嫌だよ……!!」
泣き叫ぶ声に、機械の音だけが淡々と答え続ける。