第42章 戻らない未来、守りたい命
相澤の支えで車椅子がゆっくりと進む。
その先の集中治療室の前には、リカバリーガール、オールマイト、センチピーダー、泣き崩れるバブルガールの姿があった。
バブルガールは顔をぐしゃぐしゃにしてこちらへ駆け寄る。
バ「ちゃん……! ねぇ……サー……サーを……治せない……?」
嗚咽で言葉にならない声。
それでも必死にすがるように問いかけた。
リカバリーガールは苦しげに目を伏せる。
リ「……わたしの“治癒”じゃ……この損傷は治せない……」
その言葉の重さが病室の前の空気を押しつぶす。
は震える指でガラスの向こうを見た。
――ナイトアイは無数の管に繋がれ、胸だけがかすかに上下している。
機械音が生と死の境目をかろうじて保っている。
「……未来……さん……」
相澤は、の表情を見てすぐ察した。
相「ダメだ」
短く、鋭い声。
相「例え……例え治せたとしても、今の状態で個性を使ったら……今度こそ、がどうなるかわからない」
「………でも……!」
相「ダメだ! いい加減にしろ! 生きて帰ってきたんだぞ! もう――」
止めようと腕を掴むが、
「離して」
その声は弱いのに、決意だけが真っすぐだった。
次の瞬間、は相澤の制止を振り払い、車椅子から立ち上がった。
相「おいっ!!」
足は震えている。
血も足りない。
全身が悲鳴を上げている。
それでも、ふらつく足取りで扉を押し開け、ナイトアイのいる部屋に入っていく。
バブルガールは泣きながら口を押さえ、オールマイトは沈痛な面持ちで頭を落とし、相澤は「やめろ……!」と声にならない叫びを吐く。
だが、誰も止められなかった。
ナイトアイの元に行きたいという思いが、助けたいという思いが、あまりに強すぎて。