第42章 戻らない未来、守りたい命
「……わたしは……大丈夫……それより……」
ゆっくりと首を振り、焦点の定まらない視線で相澤を見上げる。
「……み、未来…さん……は……?」
その言葉に、緑谷はビクリと肩を震わせた。
緑「……あ……そ、そうだ……ナイトアイ……!」
緑(そうだ…聞く前にちゃんの病室に着いたんだ…)
視線が揺れ、唇を噛む。
相澤も眉をひそめる。
「……教えて……ください……おねがい……」
相澤は一瞬、言葉を失った。
相「…………おそらく、明日を迎えることは…かなわない…そうだ」
曖昧に濁る説明に、の表情はみるみる歪んだ。
「そ、ん……な……。連れてって、ください。私…なら、未来さんを……。助け、られる……かも……だから…」
相「待て」
強めの声が重なり、はハッとする。
相「…まず自分の体を気にしろ。まだ血だって足りていない。起きていられるだけでも奇跡なんだぞ」
「で、でも……!」
相「でも、じゃない」
珍しく、真正面から怒った声。
相「…自分のことを後回しにするのはもうやめろ。死にかけたんだぞ。……俺は……お前が……死ぬかと、思うと…」
言葉の最後は、押し殺したように震えていた。
の胸がきゅっと締めつけられる。
緑谷も、そっと横で拳を握りしめながら小さく頷く。
緑「…そんな……ナイトアイ…。ちゃん、……一緒に行きましょう。僕が抱えていきます」
緑谷はナイトアイのを見る、あの優しい目を知っている。
まるで愛おしいものを見るような、柔らかい視線。
緑(きっと……待ってる)
相「…いや、本当に行くなら車椅子を呼ぶ。だが…」
「お願い、します…早く…」
その願いは涙まじりで、弱い声だった。
相澤はしばらく黙って見つめ――
ため息のように息を落として、
相「……わかった。だが絶対に無理はするな」
相澤はベッドかを抱きかかえて車椅子にそっと乗せた。
3人でゆっくりと病室を出る。
その先に、ナイトアイの重い現実が待っていると知りながら。