第42章 戻らない未来、守りたい命
病室の扉が静かに開き、相澤と緑谷が入ってくる。
モニターの電子音が一定のリズムを刻む中、はまだ眠ったまま――でも、その呼吸は確かにここにある。
緑谷はそっとベッドに近づき、震える指での手を握った。
緑「……、ちゃん……」
触れた瞬間――ふ、と脳裏に“一瞬だけ誰かの姿”が重なった。
短い髪。
厳しい眼光。
でもその奥にある、優しさに似た温度。
緑(……まただ……誰……? )
会ったことがないはずなのに、なぜか懐かしく、切なくなる男。
『……起こせ』
緑(……!)
『お前が呼べ』
景色が揺らぐ。
男は最後に、どこか優しい眼差しで告げた。
『——彼女を、守れ』
ハッと我に返った緑谷はに声をかける。
緑「っ…ちゃん…!目を…開けて…」
そのとき、のまつげがわずかに震えた。
震える緑谷の声に押されるように、ぼんやりと瞼が開く。
視界の端にまず相澤が映り、次に緑谷。
焦点がまだ合わない。
「……っ、あ……れ……? わたし……」
相澤は堪えきれなかった。
一歩、二歩と近づくと、もう抑えることなどできず抱きしめた。
相「…………よかった……本当に……」
胸元に額を押しつけ、声を震わせる。
普段の無表情はどこにもない。
「…消太、さん……」
相「……二度と……こんなこと……」
自分でも言葉が整わないまま、ただ生きていてくれた事実だけを何度も確かめるように抱きしめていた。
少し落ち着くと、相澤は腕を緩めての顔を覗き込む。
相「…大丈夫か。どこか痛むところは?」