第41章 血塗られた救済、救われた命
攻防が続く中、ついに緑谷にも棘が刺さった。
ナイトアイが見た未来だった。
だが、実際には地面が割れ、小さい棘が足や腕に刺さり、致命傷は避けられていた。
治「お前のせいでまた人が死ぬぞ、これが望みなのか?壊理」
この呼び掛けに、通形が連れて逃げていたはずの壊理ちゃんが戻ってきた。
壊「私は…そんなこと…望んでない」
緑谷は戻れと声を荒らげる。
治「なら…お前はどうするべきだ?」
壊「……戻る!から、皆を元通りにして…!」
治「そうだよな。自分のせいで人が傷つくより、自分が傷つく方が楽だもんな。ルミリオンで芽生えかけた淡い期待が砕かれた。気づいてるか?壊理にとって最も残酷な仕打ちをしている事を」
重く沈んだ声が空気を凍らせる。
治「お前は求められてない」
ナ(もう壊理ちゃんの保護はかなわない…。見てしまった…。私と緑谷が殺される。そしても………。治崎が逃げおおせる未来を…)
ナイトアイは絶望に打ちひしがれる。
ナ(あの子を守れないまま……終わる未来を……)
胸の奥に冷たい痛みが走る。
未来が変えられないことを誰より知っているからこそ、その“結末”が突きつける絶望が、静かに心をえぐった。
だが、緑谷の瞳だけは折れなかった。
緑「そうだとしても…余計なお世話だとしても…、君は泣いてるじゃないか。誰も死なせない…。ちゃんも守るんだ!そして君を助ける!」
その瞬間。
天井が崩れ落ち、リューキュウと死穢八斎會の一員が落下してくる。
敵連合が仕組んだものだった。
崩落の衝撃での体を貫いていた棘だけが砕け、血が一気に噴き出した。
赤い飛沫がふわりと宙に散る。
だが、ナイトアイの背中を貫く棘は、そのまま残っていた。
太く、鋭く、体を縫い付けるように。
の身体がぐらりと崩れる。
ナ「……!?」