第38章 溢れる力、受け継がれる愛 ※微
2人になり、近くのベンチに腰掛ける。
緑「ちゃん…本当に大丈夫…?正直…、あのままあの感情に身を委ねたら…ちゃんをどうしてしまうかわからないよ…。ちゃんを怖がらせたくないし、傷つけたくないんだ……」
緑谷は俯いたまま、手をぎゅっと握った。
「……正直、私も不安なんだ。だけど、愛ってあったかい物でしょ?だから、出久がその感情に従っても傷つけたりすることは無いんじゃないかなって思う。出久は優しいから」
緑谷は思わずに目を向ける。
月に照らされる横顔がとても綺麗で、儚かった。
「そのワンフォーオールの中にいる人達の誰かの想いを、私にぶつけることで何かわかるなら、私は受け止めるよ。私も、自分の力がどうなるのか…知りたいし。だから、そんなに思い悩まないで」
ね?と優しく首を傾げるに、緑谷はまた惹かれた。
緑「ありがとう…。一つだけ言っておきたいんだけど…」
目を逸らしながら、照れくさそうにする緑谷。
なんだろうと目を見つめていると、覚悟を決めたような目つきに変わった。
緑「ワンフォーオールの中の誰かの愛が僕を伝わって、それが身体を動かす力って言ったけど…。そこには同じ、"僕の想い"も混ざってる。…共鳴してるみたいな。だから…、それだけ、知ってて欲しい」
の手を取り、目をじっと見つめて伝える。
「っ……」
緑谷の想い。
何もはっきりとは言っていない。
だが、目から、手から、熱い想いが伝わってきた気がした。
「うん…、ありがとう。出久」
緑「…うん」
少し悲しそうな顔をして、手を離す。
緑「送るよ」
緑谷はを寮まで送り届けた。
見えなくなるまでずっと、見ていた。
緑「………好きだな」
その呟きは夜風に吹かれて消えていった。