第38章 溢れる力、受け継がれる愛 ※微
次の日。
緑谷はいよいよインターン開始。
通形と共にパトロールをしていると、2人は治崎と小さな女の子に出会った。
恐怖で震える女の子は緑谷に助けを求めたが、ナイトアイが追っている治崎に深く関わることが出来なかった。
その時は何も出来ず、ただただ怯えている女の子の背中を見送るしか出来なかった。
大きなしこりを残したまま、緑谷のインターン1日目は終了した。
寮に戻ってからも緑谷はずっと浮かない顔をしていた。
助けてと、言われたのに結局助けられなかった。
どんどん負の感情に飲まれていく。
そんな時に浮かぶのはやはりの顔。
緑(ちゃん…会いたいな)
そう思った瞬間、緑谷はまた内から湧き上がるあの感情に突き動かされる。
心の奥で、何か別の“誰か”が囁くような感覚があった。
『会いたい。彼女に、もう一度。触れたい』
緑谷は息を呑んだ。
誰の声かもわからないのに、涙が溢れそうになる。
温かくて、切なくて、痛いくらいに大きく深い愛。
声の主は分からない。
けれど、その言葉には、抗えないほどの熱があった。
ワンフォーオールの奥底に眠る、誰かの記憶の残滓。
緑谷にはそれが、自分の想いと混ざり合っていくのが分かった。
心臓が速くなる。
身体が熱を帯び、落ち着かない。
視界が揺れた。
緑(会いたい…ちゃんに…。今すぐ。)
緑谷は無意識に、立ち上がって身体が動いた。
気づいた時には、の部屋の前まで来てノックをした後だった。
緑(あれ…なんで…僕………)
ガチャ、とドアが開いて大好きな会いたかった人の顔が目の前にあった。
そして緑谷は吸い込まれるように部屋の中に入り、を強く抱き締めた。
「っ!?出久っ…!?」
緑谷の返事はなく、の目の前に見えるドアが音を立てて閉まった。
「どうしたの…?大丈夫…?」
いつもの緑谷と違う様子に戸惑いながらも、優しく背中に手を置く。