第36章 反応する力、愛の鼓動
その夜。
風がやわらかく頬を撫でる。
校舎の裏、薄明かりの庭で、は静かに空を見上げていた。
そんな#NAME1hを見つけた緑谷は、少し遠慮がちに声をかける。
緑「ちゃん」
「出久?どうしたの?」
緑「あ…えっと、出し忘れてたゴミを出しに…」
「そっか」
が笑う。
その瞬間、ふと、空気が変わった。
風の流れが止まり、世界の音がすっと遠のく。
の髪が月明かりを受けて淡く光る。
次の瞬間、緑谷の視界が白く滲んだ。
緑(な、なんだ…!?)
まるで夢の中に引きずり込まれるように、そこは無限に広がる光の中。
目の前には、霞がかった人影たちの幻が立っていた。
だが、その中の一人が、ほんのわずかに前に出る。
彼の瞳は何かを探すように揺れていて、やがて、の姿に向けられた。
『…似ている。私が守りたかった、かつて愛したあの人に』
声は届かない。
でも、確かに緑谷には聞こえた。胸の奥で響くように。
緑(あの人?誰のこと…?)
その瞬間、理屈を超えた衝動に突き動かされた。
まるで記憶の波が緑谷の体を動かし、自然とへと近づかせたのだ。
「…っ!」
緑谷の腕が、ためらうことなくを強く抱きしめる。
「出久っ…?」
その声でハッと現実に引き戻され、の体を離した。
緑「ご、ごごごめん…っ。なぜだか…体が勝手に動いて…。なんでかわからないけど、でも…何かの想いが、僕を動かしてるみたいだった…」
まるで、継承者の中の誰かの愛が今ここに甦り、2人の魂を繋げているかのように。
はそんな緑谷をもう一度しっかり抱きしめた。
「いつもよく頑張ってるね」
急に強力な個性が現れ、それに体は追いつけずいつもボロボロ。
でも、それに負けない強い思いが緑谷にあることをは知っている。
緑「あ…りがと…」
緑谷もまた、の背中にしっかりと腕を回した。