第36章 反応する力、愛の鼓動
1日が終わり、帰りのHR前。
教室の席がふたつ空いているだけで、いつもの活気が少し薄れて見える。
は時折その空席に目をやってしまう。
芦「早く戻ってきてほしいね」
上「ほんと、あの2人いないと寂しいな!」
皆が頷く。
そんなクラスの様子に、は少しだけ肩の力を抜いた。
反省の時間も、彼らにはきっと必要。
でも、戻ってくる場所はちゃんとある。
HRが終わり、寮に戻る生徒たち。
今日の授業の話、インターンの話。
緑谷が気になって聞いてみても、授業内容の伝達は禁止されていると言われた。
一方は、職員室で書類を片付けていた。
ふと時計を見る。
寮の消灯までもう少し。
きっと今頃、2人はそれぞれの部屋で一日を振り返っているのだろう。
職員室の灯りは、もう半分以上が落とされていた。
残るのは、と相澤のデスクだけ。
「…はぁ、今日も一日長かったな」
小さく伸びをすると、相澤がペンを置き、無言で湯気の立つカップを差し出す。
相「コーヒー、冷める前に飲め」
「ありがとうございます」
指先が少し触れる。
たったそれだけで、胸の奥がふっと温かくなった。
沈黙の中、相澤がつぶやく。
相「…今日ずっと空席見てただろ」
「えっ、見てました?」
相「バレバレだ。…心配なんだろ」
は苦笑しながら頷いた。
「気になっちゃって」
相「そうか」
優しく笑う声がして、気づけば相澤が立ち上がっていた。
そして何も言わず、そっとの肩に手を置く。
相「頑張りすぎるなよ」
「消太さんも」
その掌のぬくもりが、言葉よりもずっと優しかった。
は目を閉じ、ほんの一瞬だけその手に頬を寄せる。
静まり返った職員室に、時計の針の音だけが響く。
その夜、互いの疲れを分け合うように、ふたりはしばらく何も言わず立ち尽くしていた。