第34章 愛が生む力、蠢く悪意
オ「……違う」
A「そう思いたいだけだ。だが一つだけ教えてやろう。を中心に、世界は少しずつ形を変え始めている。彼女の存在そのものが、均衡を揺らしているんだ。……“愛”という、最も醜い力によってね」
オ「愛を、くんを侮辱するな。彼女は美しく、そして強い」
A「たしかに…かなり手強いようだね。弔も苦戦してたみたいだ。だがその強さが折れてしまった時、君たちヒーローが支えられるのかな?」
オ「支える。必ずだ。くんを愛する者たちは確かにいる。その愛がどれほど儚くとも、信じる心は決して折れない。愛は、希望を繋ぐ力だ」
A「ふふ……希望、か。そうやって君たちは何度でも同じ夢を見る。愛し、救い、失い、また願う。神々もそうであったように、人間もまた、同じ輪を描く。……それが“回帰”というものだよ、オールマイト。」
オ「……それでも、人は進む。愛を信じて、光の方へ」
「オールマイト、あと3分ほどで…」
無機質な看守のアナウンスが会話を裂いた。
タルタロスの冷たい照明が、2人の間に落ちた影をより深くする。
A「まってくれ、そりゃあないだろう。話をしたいんだ」
そうだな…と呟いた後にオールフォーワンは続ける。
A「世間は君の引退にかなり動揺したと思うんだが、様子はどうだ?」
すぐに、看守の無感情な声が響いた。
「外の情報は遮断しています。軽率な発言は控えるようお願いします」
オ「だそうだ」
A「残念だな」
その言葉が消えた直後、空気がほんの一瞬、重たくなった。
オールフォーワンの瞳が金属の檻越しに暗く光り、部屋のどこかから冷たい気配が忍び寄るように感じられた。
それは笑いでもなければ嘲りでもない、まるで何かを観測する存在の眼差しだった。