第33章 試される力、届かない想い
真「っ…!!!」
真堂の心臓はバクバクと音を立てていた。
「揺くん」
の手がゆっくり横に開かれる。
「おいで?」
真堂の喉がゴクリと鳴る。
緊張しながらも、その声に導かれるように一歩、また一歩と近づいていく。
そして勢いよく、ガバッと抱きしめた。
「わっ…」
驚きながらも、は優しく背中に手を回す。
柔らかな光が、2人を包み込んだ。
真「さん…俺…」
「揺くんも、もう少し我慢してね。ごめんね」
眉を下げながらそう言う声が、やけに優しく響いた。
真(ずっと…こうしていたい)
体が、心がふわりと軽くなる。
そしてあたたかい。
物理的に、ではない。
好きな人と触れ合うと、こんなにも心地のいいものなのか。
「も、もう大丈夫だよ?」
が手を離しても、真堂は腕の力を緩めない。
真「さん…」
名を呼ばれ顔を上げる。
燃えるような瞳が目の前にあった。
「ちょっ…揺くん…」
その時、
轟「おい」
低く落ちた声が、医務室の空気を震わせた。
轟「もう…いいだろ」
真「……あぁ。ありがとうさん。体が軽くなったよ」
真堂はを離した。
「待って!最後に」
は真堂の頭を優しく撫でた。
「うん、これで完璧!」
にこりと笑うから、目が離せない。
もう一度、抱きしめたい衝動に駆られ、思わず手が少し上がる。
だがその瞬間、の体は轟のほうへ引き寄せられた。
真堂の上がった手は、力を失ってだらりと垂れた。
轟「」
その声も、視線も、 誰が見ても優しかった。