第31章 出会った男、不穏な気配
ナイトアイはふと表情を和らげて、を見た。
ナ「…ずいぶん変わったな。顔つきが」
「え?」
ナ「目だよ。昔よりも、ずっと強くなった。…それに、優しくもなった」
その言葉に、は少し戸惑いながらも、微笑んだ。
「…先生たちのおかげです。雄英で生徒と過ごしてると、強くなきゃいけない場面ばっかりで」
ナ「そうか。が教師とは、世の中も面白くなったものだ」
ナイトアイはくすりと笑いながら、ティーカップを差し出した。
ナ「少し温まるといい。雨の中、よく来てくれた」
は受け取って、小さく頷く。
その紅茶の湯気が、心の奥までじんわりと沁みていくようだった。
(…やっぱり、落ち着くな)
優しく、静かに。
どこか懐かしい空気が、の胸のざわめきを溶かしていった。
はティーカップを両手で包みながら、ふと呟いた。
「…そういえば、さっき…ちょっと、不思議なことがあったんです」
ナ「不思議なこと?」
ナイトアイが片眉を上げる。
「ここに来る途中で、雨に降られてしまって。それで、あの…、死穢八斎會の廻さんって方が、親切に事務所に入れてくださって…」
その瞬間。
静かだった空気が、ぱん、と張り詰めた。
ナイトアイの瞳が一気に鋭くなる。
ナ「治崎か!?なぜ!?なにもされていないな!?」
椅子が軋むほど勢いよく立ち上がる。
その反応には驚き、思わずティーカップを取り落としそうになった。
「えっ、えぇと…な、なにも! されてません! ただ、ぶつかって、それで…雨宿りを…!」
ナイトアイは頭を押さえ、深く息を吐いた。
ナ「…まったく、どうして君はそういう危険人物に縁があるんだ」