第29章 静かな熱、寄り添う心 ※
「はぁ、はぁっ……、っ」
全然飲めそうにない。
相澤がくるまでおそらくあと50分程。
轟「……わりぃ、飲ませるぞ」
体を起こして薬をの口へ放り込み、水を口に含んで唇を合わせた。
「んっ…」
少しずつ水が流れてくる。
ゴクリ、と喉が鳴る。
轟「飲めたか?」
口を離し、の綺麗な目と轟のオッドアイが合った。
「しょうと…、ごめ…っ、も、いっかい…っ」
轟「なにがもういっ…」
は我慢ならなくなって轟の頬を両手で包み込み、キスをした。
轟は驚いたが、すぐにそれを受け入れ、の後頭部と背中に手をまわし、強く抱き締めた。
轟はの口を割り、中をゆっくりかき混ぜる。
「んっ…はぁっ、んんっ」
好きな人とするキスはこんなにも幸せな気分になれるのか。
こんなにも気持ちがいいのか。
轟は夢中でを貪った。
時折合わさった口の端から漏れる甘い声がとんでもなく轟の欲情を掻き立てる。
暫くして、の力が抜けていく。
轟「…??」
を見ると、目を瞑り眠っているようだった。
轟「寝てる…のか?さっきのは睡眠薬…?」
相澤がくるまであと45分程。
轟「寝て耐えるのかよ…くそ………」
何も出来ない歯がゆさが胸を締め付ける。
けれど、その顔を見ているだけで、不思議と心が温かくなる。
苦しそうな表情は、まだ完全には消えていない。
けれどさっきよりも、ずっと穏やかだった。
轟はの寝顔を見ながら、相澤の到着を待つ。
を見る轟の目は優しく、愛に溢れていた。
前髪を流し、頬を撫でながら、への愛を呟いた。
轟「好きだ…」
その声は、誰にも届かない。
けれど、轟の胸の奥では確かに燃えていた。