第29章 静かな熱、寄り添う心 ※
さっきまで何ともなかったのに。
爆豪に続き轟にバレるとまずい。
相澤にもあれだけ口酸っぱく言われた。
何としてでも隠し通さなければ。
「だい、じょうぶ…。ちょっと、ひんけつ、みたいなもの、だよ…っ」
轟(貧血…?貧血でここまでなるか?)
轟は眉を寄せながらの身体を支え、ゆっくりと部屋へと運ぶ。
轟「とりあえず、布団で横になってろ」
息の荒いを、自分の布団にそっと寝かせた。
汗ばんだ額、浅い呼吸。
見ているだけで心が痛む。
「しょ、と…ごめん…、スマホ、とってき、て…っ」
苦しそうにスマホを求める。
轟「なんでだ?安静に寝てた方がいい」
「おねが、い…っ、しょうた、さんに……れんらくっ…しな、いと…っ」
轟「なんで相澤先生なんだ?」
「おねがい…っ」
目の前に俺がいるのに。
俺じゃ、ダメなのか?頼りないのか?
胸の奥で言葉にならない想いが渦巻く。
轟「…落ち着いたらちゃんと寮まで連れて帰る。それじゃだめなのか?」
はもう返事すらままならない。
浅い呼吸を繰り返しながら、潤んだ瞳で轟を見つめる。
轟「っ…そんな目で、見ないでくれ」
息が止まりそうだった。
その儚い表情、震える指先。
光の中で滲む瞳。
轟の中で、理性と感情の境界が溶けていく。
これは貧血なんかではない。
なにか、なにかがある。
はそれを隠している。
そして相澤はこのの状態を知っている。
だから連絡しようとしていた。
轟は無言のまま立ち上がり、スマホを取りに部屋を出た。
頭の中でぐるぐると考えが巡る。
いつから……こんな風になった?
病気なのか?
重症なら、休職しているはずだ。
じゃあ、何が……
思考を抱えたまま、スマホを掴んで部屋に戻る。
ドアを開けると、がこちらを見上げた。
その瞳は、何かを求めるように揺れている。
轟は息を呑んだ。
その目を見た瞬間、胸がぎゅっと掴まれる。