第29章 静かな熱、寄り添う心 ※
轟家に着くと、冬美がにこやかに迎えてくれた。
冬「!会えて嬉しい♡さっそくご飯食べてって!」
机には美味しそうな料理が並び、も思わず笑顔になる。
「わぁ、すごい!美味しそう…!」
轟はそんなの笑顔に、思わず胸がぎゅっとなる。
手元の箸が少し震え、視線を落とせば、髪に光が差して柔らかく揺れる姿が目に焼き付く。
3人で手を合わせ、料理に手を付ける。
穏やかな時間。笑い声。
食卓を囲むその空気は、轟にとって夢のようだった。
だが突然、冬美のケータイが鳴った。
冬「……えぇっ!?もーー…ごめん、職場から呼び出しだ…もっと話したかったのに〜!」
「大変だね…また遊びに来るよ!」
冬「ほんとごめんね…!」
バタバタと冬美は家を出て行った。
2人きりになると、空気が自然と落ち着き、でも胸の奥はどきどきしている。
料理をつまみながら、ささやかな会話が続く。
笑い声、視線の交わり、互いの距離感。
すべてが特別に感じられた。
やがて、がゆっくりと立ち上がる。
「そろそろ帰らなきゃ…」
スマホを取り出し、相澤へ連絡を送る。
〈焦凍のお家でご飯を食べていました。もう少ししたら帰ります〉
(よし、体も大丈夫そうだし、片付けしたら帰ろう)
食器を流しへ運び、水の音が静かに響く。
轟も隣で手伝いながら、ふとその横顔を盗み見た。
轟(なんか…まるで…)
大人になって、と一緒にこうやって毎日過ごせたら、どれだけ幸せだろうか。
少し勝手な未来を想像して顔を赤らめる。
そして、お皿洗いが終わった時、ふわりと後ろからを包み込んだ。
「焦凍…?」
轟「…、俺………」
その時、突然胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚が走り、息が荒くなる。
「…あ、あれ…っ、はぁっ…なんで……っ」
轟「?大丈夫か!?」
視界がぐらりと揺れ、足が絡まり倒れそうになる。
瞬時に手を伸ばし、の身体を支える。
轟の瞳は真剣そのもの。
ただ守りたい、支えたい、その思いだけでいっぱいだった。