第29章 静かな熱、寄り添う心 ※
駅までの道を並んで歩くふたり。
いつもは静かな轟が、今日はどこか落ち着かない様子だった。
「ねぇ焦凍、なんだか緊張してる?」
轟「…してねぇ」
「ふふ、ほんと?手、ぎゅってなってるよ?」
ポケットの中の拳を指摘され、轟は少しだけ視線を逸らした。
轟(なんか…デートみたいだな…)
そんな考えがふと頭をかすめ、轟は心の中で慌てて打ち消した。
それでも、隣を歩くの足音や髪の揺れが妙に心地よく、少しだけ速くなる鼓動を止められなかった。
病院に着くと、病室の窓際に座る冷が驚きながら微笑んだ。
冷「ちゃん…!」
「冷さん…!お久しぶりです」
そっと手を取り合う2人。
冷の手は相変わらず冷たく、それでもどこか安心する温度だった。
冷「焦凍が、昔からあなたの話をよくするの。雄英で再会したって聞いた時はびっくりしたわ」
「私もです。焦凍、毎日すごく頑張ってます!」
病室の中には、穏やかで柔らかな笑い声が流れた。
かつて氷のように固まっていた冷の空気が、少しずつ、ほんの少しずつ、溶けていく。
冷「焦凍も、良い顔をするようになったわね」
轟「……が、いつも近くにいてくれるから」
冷「まぁ…あなたは昔から気持ちは変わらないのね。ふふふ」
不意に言葉が詰まり、は頬を赤らめた。
冷はそんな2人を優しく見つめ、まるで母親らしい柔らかな眼差しで微笑んだ。
冷「これからも焦凍を、よろしくお願いします」
「焦凍は、立派なヒーローになると思います」