第27章 近付く距離、越えられない壁
しばらくして、生徒たちの賑やかな声が少しずつ落ち着いてきた。
は空になったマグカップを両手で包みながら、そっと立ち上がる。
「…ちょっとB組のほうにも顔を出してこようかな」
芦「えー先生もういっちゃうのー?」
相「行ってこい。アイツらもお前のこと気にしてただろうしな」
相澤のその言葉に、はふっと笑みを浮かべて寮を出た。
外の風がひんやりと頬を撫でる。
少し離れたB組寮の前では、なぜか明るいライトと笑い声が聞こえていた。
「…ふふ、どこも同じだ」
恐る恐るドアを開けた瞬間、
物「おおぉ!? 先生!?」
拳「先生心配しましたよ〜」
鉄「無事でよかったっす!!!」
一瞬で空気が爆発したように明るくなる。
B組全員がわらわらと集まり、の周りを囲む。
「ありがとう、みんな」
にこり、と微笑み返せば静まり返る。
「…どうかしたの?」
物「い、いやぁ〜別に?ただ顔出すのちょっと遅くないかと思いましてねぇ〜」
拳「物間! 先生だって忙しいんだから!」
「ごめんね寧人、さっきまでA組に居たの」
物「でたまたA組!どうして副担任はA組なんですかねぇ!?B組も兼任すればいいものを!」
「寧人…、寂しかったの?」
ニヤリ、としながら物間に顔を近づける。
物「さっ、さっ、寂しくなんか!これっぽっちも!純粋無垢な生徒をからかってるんですか!?悪いオンナ…!」
泡「こいつずーっと先生ーって騒いでましたよ…。無事戻ってきたなら、それだけで十分っすよ!」
「そっか。ありがとう、みんな。寧人も、心配してくれてありがとう」
物「…次から気をつけてくださいね。もう心配しませんよ」
「ふふ、うん!」